MSS(マネージドセキュリティサービス)とは?SOCとの違いや導入メリットなども解説

株式会社サイバーセキュリティクラウド

投稿日:2025/07/14

近年、サイバー攻撃の巧妙化と件数増加により、社内の体制だけでセキュリティ対策に取り組むことの限界を感じている企業が増加しています。そこで注目されているのがMSS(マネージドセキュリティサービス)です。

この記事では、MSSとは何かから、SOCやMDRとの違い、MSSが注目される背景までを詳しく解説します。また、MSSを導入するメリットや注意点についても紹介します。

MSS(マネージドセキュリティサービス)とは?

MSSとは、マネージドセキュリティサービス(Managed Security Service)の略称で、企業のセキュリティ業務を外部の専門企業が代行するサービスです。MSSを提供する企業のことはMSSP(Managed Security Service Provider)と呼ばれ、情報セキュリティの専門知識や高度なプロフェッショナル人材を有するセキュリティベンダーのことを指します。

サービス内容にもよりますが、MSSの対応範囲は広く、セキュリティ対策機器の死活監視、ネットワークの設計、ファイアウォールやWAFの運用、ログ解析、脅威検知など、セキュリティに関するさまざまな業務を24時間365日体制で網羅的に対応します。

MSSとほかのセキュリティサービスの違い

MSSと混同されやすいセキュリティサービスとして、SOCやMDRがあります。ここでは、MSSとSOCやMDRの違いについて解説します。それぞれの特徴と違いを理解して自社に最適なサービスを選択しましょう。

MSSとSOCの違い

SOC(Security Operation Center)とは、企業におけるネットワークや情報機器を監視し、脅威の兆候を検知・分析する専門組織です。ファイアウォールやIDS/IPSなどのセキュリティサービスを常に監視し、アラートの管理や対処を行います。

SOCは自社内で構築される場合もありますが、多くは専門事業者が提供する外部SOCを活用して運用されます。
一方、MSSは、このSOCの機能をサービスとして提供する形態を指します。企業が自らSOCを持たずとも、MSS事業者にログを送信することで、セキュリティの監視・分析・報告などをアウトソースできます。MSSはサービス提供型であるため、導入や運用の柔軟性が高く、必要な範囲に応じてサービス内容を選択できます。

両者の大きな違いは、「組織」か「サービス」かという点にあります。SOCはあくまでセキュリティ運用の中核を担う体制であり、MSSはその機能を企業の代わりに担うサービスであるため、自社の体制や求めるセキュリティレベルに応じて適切な選択が求められます。

MSSとMDRの違い

MDR(Managed Detection and Response)とは、エンドポイントやネットワーク、クラウドサービスなどを監視・検知するマネージドサービスです。EPP(Endpoint Protection Platform)やEDR(Endpoint Detection and Response)などの提供ベンダーがMDRを提供することが多いです。

MDRは広範な領域をカバーするため、脅威を早期に検知・識別できるのが特長です。仮に攻撃者に侵入された場合でも、MDRによって素早く発見され、迅速な対応が可能となります。サービスによっては、インシデント発生時に初動対応まで実施するベンダーも存在します。

MDRはMSSと類似していますが、MSSの方が対応範囲は広く、ファイアウォールやWAF、サーバーの監視などもカバーしています。MSSはMDRよりも包括的なセキュリティ業務を担うことが可能です。

MSSが注目されている背景

巧妙化するサイバー攻撃の増加とセキュリティ人材の不足によって、MSSへの注目度が高まっています。ここでは、MSSが注目される理由をより詳しく解説します。

サイバー攻撃の巧妙化と増加

技術の進歩に伴い、ランサムウェアや標的型攻撃などの巧妙な攻撃が急増しています。

IPAが発表する「情報セキュリティ10大脅威」によると、ランサムウェアと標的型攻撃がそれぞれ1位と4位にランクインしました。また、両方とも2016年からの9年間継続して10大脅威に選ばれています。

巧妙化している攻撃に対して、1つのセキュリティサービスやMDRだけでは防御しきれない状況が生まれています。

複数のセキュリティサービスを活用し、さまざまな情報やアラートを総合的に分析・判断する必要があるため、包括的なセキュリティ対応ができるMSSが注目されています。

セキュリティ人材の不足と自社対応の限界

巧妙化しているサイバー攻撃を自社で対策するには、セキュリティ人材が重要となってきます。しかし、深刻な人材不足によりセキュリティ人材の確保が企業の大きな課題となります。

世界最大のサイバーセキュリティ専門家資格の非営利団体ISC2の2024年の調査によると、日本におけるセキュリティ人材のギャップは2023年の約11万人から2024年の約17万人に悪化しています。

高度な攻撃に対応するにはセキュリティに関する専門的な知識と経験が不可欠なので、社内での人材育成には時間やコストがかかります。

セキュリティ人材の確保が困難なため、巧妙な攻撃を対策するのに必要不可欠なログ監視・脅威分析などの業務をMSSに任せる企業が増えています。

MSSを導入する3つのメリット

MSSを導入する企業が増加していますが、具体的にはどういうメリットがあるのでしょうか?ここでは、MSSを導入する3つのメリットを解説します。

インシデントの早期検知と初動対応

MSSでは、24時間365日の監視体制を通じて、ネットワークやシステム上の異常な挙動をリアルタイムで検知します。

不審なアクティビティを検知した場合、MSSが即時にセキュリティ担当者に通知します。アラートによって企業が素早く対応できるため、セキュリティインシデントの被害を最小限に抑えることができます。

MSSの導入によってセキュリティインシデントを早期に検知することができるため、対応遅れによるリスクを軽減できます。

セキュリティ部門の運用負担を大幅に軽減

セキュリティ運用には、常時監視や脅威の調査、レポートの作成など、さまざまな業務が伴います。そのため、多くの人的リソースを必要とします。

MSSを導入することで、これらのセキュリティ業務を専門の事業者に任せることが可能になります。アラートを一つひとつ確認し、対応の要否を判断する手間が省けるため、運用負担を大幅に軽減できます。

最新のセキュリティ技術と知見を活用可能

最新の攻撃や脅威に対応するためには、セキュリティ技術に関する情報を継続的に収集し、自社にとって影響の大きい脅威を見極め、優先的に対応する必要があります。

しかし、技術の進化は非常に速く、新たな情報が日々発信されるため、それらをすべて把握・対応するのは容易ではありません。

MSSを導入すれば、、最新の脅威や攻撃情報はMSSの提供ベンダー(MSSP)が収集・対処してくれるため、自社での対応は原則不要です。仮に気になる情報があった場合は、MSSPに相談すれば適切な対処方法のアドバイスを受けられることが多く、安心です。

さらに、MSSPにはセキュリティに関する高度な知識や資格を有する専門人材が多数在籍していることが多いため、MSSを活用することで自社に不足しているノウハウを補完することができます。あわせて、得られた知見や情報を社内に蓄積することも可能です。

MSSを導入する際に押さえるべきポイント

MSSの導入を成功させるためにはさまざまな注意点があります。ここでは、MSSを導入する際に注意しないといけない3つのポイントを説明します。

自社の課題や目的を明確にする

MSSを導入する前に、まず自社が直面している課題をきちんと整理する必要があります。

MSSにはさまざまな機能が搭載されていますが、すべての機能が自社に必要とは限りません。導入の前に自社の課題をしっかり特定することによって、自社のニーズに合わせて必要な機能でMSSを選定することができます。

例えば、アラートがたくさん出ていて対応しきれない場合、アラートを優先順位付けして重要なもののみを通知する機能が必要となります。また、アラートの内容に合わせて対応方法を提案してくれる機能があると業務の効率化につながるでしょう。

事前に自社の課題やMSSの導入目的を明確にすることで、過不足のない自社に合致したMSSを選定することができます。

サービス範囲・対応体制を具体的に確認する

MSSによってサービスの対応範囲や体制が異なるため、導入する前にしっかり確認したほうが安心です。

監視対象や範囲、具体的な対応内容、レポート形式、インシデント発生時の対応方法など、MSSPによって提供するサービス内容が異なります。

また、24時間365日対応の有無や緊急時の連絡手段も確認すべきです。管理画面内のチャットやメールサポートしか提供されない場合、緊急時における対応が遅くなる恐れがあるため、リスクを事前に把握すべきでしょう。

提供企業(MSSP)の実績・信頼性を見極める

MSSはセキュリティサービスのため、提供企業(MSSP)もしっかり見極めることが重要です。金融、医療、製造など、自社と同業種での導入実績や、MSSPの専門性や信頼性などが重要な判断材料となります。

専門性や信頼性を確認するために、第三者機関による認証を取得しているかの確認も重要です。例えば、AWS環境でのMSSを導入する場合、AWSが認定しているMSSPが提供するMSSを選定したほうが安心できるでしょう。

AWS環境でのMSSならCloudFastener(クラウドファスナー)

CloudFastener(クラウドファスナー)は、AWSをはじめ、Azure、Google Cloud環境を強化するMSS+αのサービスです。

ほかのMSSと同じく、CloudFastenerはネットワークやシステムを常時監視し、検知アラートの確認や初期対応、調査など負荷の高い運用業務を代行します。CloudFastenerを導入することで、属人的な対応に頼らず、安定して効率的なセキュリティ運用を実現できます。

そのうえ、CloudFastenerは各々のクラウド環境に合わせてカスタマイズされたコンサルティングを提供しています。企業の課題や成熟度に合わせて適切なセキュリティ体制を提供するので、従来のMSSでは行き届かない範囲もカバーできます。

また、CloudFastenerは日本企業としては初、世界でも14社目としてAWS MSSPコンピテンシーとして認定されています。さらに、AWSファンデーショナルテクニカルレビュー(FTR)の認証も取得しているので、信頼度が高いです。

CloudFastenerについて詳しくはこちらの資料をダウンロードし、ご確認ください。

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